1953年10月10日、鹿児島で初めての民放ラジオ「ラジオ南日本」として産声を上げたMBCの70年は、奄美群島日本復帰70年の歴史と重なる。
終戦後の1946年2月、奄美群島は米軍の統治下に置かれ日本本土への渡航が自由にできなくなり、基幹産業である黒糖や大島紬などの販路も失われて群島住民の生活は困窮した。
日本復帰を強く願った住民は、一丸となって署名活動や断食活動を行い、1953年12月25日、ついに奄美群島の日本復帰が果たされた。
MBCはまだ開局して2か月ほどだったが、8年間の米軍統治から解放された復帰の日の喜びをいち早く伝えたいと、当時の局員2人が奄美に渡って復帰当日の記念祝賀会を生中継し、さらにその模様は全国にも中継放送された。
奄美群島日本復帰70年、そしてMBC開局70年の今年、当時の人々の喜びの声、そして使命感を持って報道にあたった2人の局員の想いを届けようとラジオドラマを制作。本格的な制作は23年ぶりとなる。
MBCの資料室に残されている70年前の音源や資料を基に奄美での取材も経て、鹿児島出身で日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞の飯田健三郎さんが脚本を書き上げ、同じく鹿児島出身の竪山博之さんが演出を手掛けた。
そして、奄美にルーツがある恵俊彰さん、奄美で役者を志した迫田孝也さんが当時の局員を演じ、奄美の唄者・元ちとせさんが語りを担当。
鹿児島で活動する役者やMBCアナウンサーも出演している。
70年前に復帰祝賀式典で歌われた復帰の歌「朝はあけたり」をタイトルにし、当時の音声や証言も綴りながら、奄美群島の歴史や先人たちの想いを未来に語り継ぐ60分。
70年前の1953年12月25日、奄美群島が日本復帰の日を迎える。
米軍の統治下にあった奄美群島が日本に返還されることは島民にとっての願いであった。
多くの人々が一丸となって行った署名や断食などの復帰運動・・・その強い思いが実り、ついに日本復帰が果たされたのだ。
「ラジオ南日本」が開局したのは、その年の10月10日。
8年間の米軍統治から解放される島民の喜びの声を「いち早く伝えたい」と2人の放送局員が立ち上がる。
しかし、正式な渡航許可は間に合わず、奄美大島に渡る手段は密航しかなかった―
使命感を持って報道にあたったアナウンサーの岩橋健正と技術課長古川満雄、そして、彼らの報道を支えた奄美の人々や家族を取り巻く情熱のドラマを、MBC資料室に残る当時の音声も織り交ぜながら12月25日の“復帰の日”に、お届けする。
恵 俊彰
(MBCアナウンサー 岩橋健正 役)
俳優・タレント/1964年生まれ、鹿児島県出身。甲南高校卒。
89年、石塚英彦とお笑いコンビホンジャマカを結成し、90年代を代表するコンビとして多数の番組に出演。番組MCとしては、情報番組『ひるおび!』等を担当。
役者としてはTBS日曜劇場「下町ロケット」や舞台などで幅広く活躍中。
迫田 孝也
(MBC技術課長 古川満雄 役)
俳優/ 1977年生まれ、鹿児島県出身。鶴丸高校卒。
大河ドラマ「真田丸」「西郷どん」「鎌倉殿の13人」に出演。また、TBS日曜劇場「ドラゴン桜」「天国と地獄」「マイファミリー」なども。直近では、「VIVANT」の山本役で迫真の演技を見せた。舞台では「酒と涙とジキルとハイド」で助手 のプール役を熱演。
元 ちとせ
(語り)
鹿児島県奄美大島出身。
2002年に「ワダツミの木」で鮮烈なデビューを飾る。2015年、平和への思いを込めたカバーアルバム『平和元年』をリリースし、第57回日本レコード大賞企画賞を受賞。
2022年メジャーデビュー20周年を迎え、今年11月にはベストアルバム『語り継ぐこと』に新たに坂本龍一プロデュースの反戦歌「死んだ女の子」を加えたリマスターCDとアナログ盤(完全限定生産盤)をリリース。
奄美大島を生活の拠点とし、独自の文化「シマ唄」を次世代に受け継いでいく語り部の一人としても注目を集める。
有馬局長 … 久世 恭弘
古川 志津 … 松本 雪乃
岩橋 ゆかり … 大森 陽
泊 博正 … とめ 貴志
有馬局長 | … | 久世 恭弘 |
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古川 志津 | … | 松本 雪乃 |
岩橋 ゆかり | … | 大森 陽 |
泊 博正 | … | とめ 貴志 |
北島 餃子
吉直 潤太
野口 あおい
宇都 駿将
児玉 俊和
TOMOYA
堂満 太一
桐原 叶多
竪山 実花
向井 千紘
岩﨑 弘志
上野 知子
岡田 祐介
城光寺 剛
豊平 有香
古川 廣生
中村栄子事務所
飯田 健三郎(脚本)
脚本家/1964年生まれ、鹿児島県出身。鶴丸高校卒。大学卒業後、東京・渋谷のPARCO劇場にて、つかこうへい作品等の演劇制作に従事。その後フリーとして独立。主に映画、舞台を中心として脚本家、演出家として活動。主な参加作品:映画『ホワイトアウト』(2000)、『亡国のイージス』(2005・日本アカデミー賞優秀脚本賞)、『聯合艦隊司令長官山本五十六』(2011)、『空母いぶき』(2019・脚本協力)、『大河への道』(2022・脚本協力)他
竪山 博之(演出)
脚本家・演出家/1963年生まれ、鹿児島市出身。鶴丸高校卒。30歳までは俳優として人気ドラマ『ふぞろいの林檎たちIII』(TBS)、『世にも奇妙な物語』(CX)、NHK大河ドラマ『琉球の風』などに出演。蜷川幸雄演出『テンペスト』の演出助手を経て、1995年に演出家に。2004年、劇評執筆のためパリへ。主にバレエやファッションショーを取材。2006年の帰国後は『西郷どんがやって来た』(2011年・2019年 鹿児島県文化振興財団)、『ラジオ朗読劇 椋鳩十の世界』(2015年~2021年 南日本放送)の脚本・演出など。近年は『この花咲くや』(2022年 NHK)、映画『かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発』(2018年 松竹)、『きばいやんせ!私』(2019年)にて鹿児島弁の監修・指導。
松本 圭使(テーマ曲)
鹿児島県出身。幼少よりクラシックピアノを始める。
18歳より演奏活動を開始するも、ジャズピアノの研鑽を積むためにニューヨークへ留学。帰国後は、鹿児島拠点にこだわりながら、CDの全国リリースや様々なグループでの関東・九州公演など全国規模で活動を展開している。これまで自身のピアノトリオアルバムとして「The Other Side Of It」「LIFE ABOVE DEE」を全国発売。
CM音楽制作、肥薩おれんじ鉄道「観光列車おれんじ食堂」の音楽プロデュースを務めるほか、平成29年第42回鹿児島市春の新人賞をジャズ部門で初受賞。これをきっかけに、「鹿児島ジャズフェスティバル」の発起人かつ実行委員長を務める。